♪♯♪ A lady's etude ♪♯♪

written by HIYOKO


 

「あ〜あ、つっかれたぁーっ!クソッ!」
あらら、ご機嫌ナナメでご帰還?

「なんで役所っつートコはああも融通が効かねぇんだよーっ!」
ああ、例の新施設用地の申請ね。ムチャクチャだもん、そりゃ許可できないでしょうね〜

「こっちが頭下げてお願いしてやってるのに、あいつら理解する気も頭もハナからねぇんだよ」
甲児君が頭を下げた?信じられないわね…なんてお願いしたの?

「『俺、兜甲児のやる事に間違いは無い!』それで充分じゃないか!」
…正気の沙汰とは思えない何の根拠も無い自信ね。なんか眩暈がしてきた…

「身体中からヤル気が溢れだしてるの、見えねぇのかよーっ!」
…新施設より甲児君につける薬の開発が先なんじゃない?
いったいナニ考えてんのよ!何様のつもり?!
今までそれで通ってきたことのほうがおかしいのよ!
ロクな実績も無いくせに!ケンカの経験が豊富なだけでしょ!


「…はぁ〜っ…」
…ちょっと、ナニ急にうなだれてんのよ?

「やっぱダメだよな…俺なんてマジンガーに乗らなきゃ何のとりえも無いもんな…」
今度はグチか…やってられないわ〜

「…なぁ」
そんな上目遣いして…何よ?

「落ち込んでるんだから、ちょっとは慰めてくれよ」
はぁ?

「こういう時、女の子は優しくしてくれるもんだろ?」
…バッカじゃないの?怒鳴り散らした挙句、勝手に落ち込んで…甘えんじゃないわよ!
どうせ落ち込むんなら奈落の底に穴掘って、土の中にドップリ埋まってなさいよ!



以前の私ならそう言ってたでしょうね。
でも今の私はそんなことは言わないの。
本を読んだり話を聞いたりして、知性とボディに磨きをかける。
自分の中に思い描く憧れの女性へ向かって、日々成長してるの。
甲児君の操縦は誰にも負けない!
男を育てることのできる女って、イイ女の条件よね。


「貴方を信じてる。諦めないで。私は貴方の最強の味方よ。」

最初は女神の祝福。甘く囁き勇気をあげる。
甲児君の瞳に自信が漲り私を強く誘う。





次はマドンナの微笑み。全てを許し癒すように。
甲児君は甘えるように私の唇を受け止める。


最後は天使の抱擁。柔らかい羽で心まで包むように。
甲児君は私のお腹を撫で回しバカ笑いする…

?…バカ笑い?

「ひゃひゃひゃっ!く、苦し〜っ!胸の詰めモンが腹までズリ落ちてきてるーっ!」
…!!! ドスッ!


迷う間もなくスムーズに右ストレートが伸びていった。
私もまだまだ修行が足りない…
だから今日も私は最上級の淑女を目指し、トレーニングルームに向かう。
大胸筋を鍛え上げて、バストアップとパンチ力増加の一石二鳥♪

fine

 

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