「あ〜あ、つっかれたぁーっ!クソッ!」
あらら、ご機嫌ナナメでご帰還?
「なんで役所っつートコはああも融通が効かねぇんだよーっ!」
ああ、例の新施設用地の申請ね。ムチャクチャだもん、そりゃ許可できないでしょうね〜
「こっちが頭下げてお願いしてやってるのに、あいつら理解する気も頭もハナからねぇんだよ」
甲児君が頭を下げた?信じられないわね…なんてお願いしたの?
「『俺、兜甲児のやる事に間違いは無い!』それで充分じゃないか!」
…正気の沙汰とは思えない何の根拠も無い自信ね。なんか眩暈がしてきた…
「身体中からヤル気が溢れだしてるの、見えねぇのかよーっ!」
…新施設より甲児君につける薬の開発が先なんじゃない?
いったいナニ考えてんのよ!何様のつもり?!
今までそれで通ってきたことのほうがおかしいのよ!
ロクな実績も無いくせに!ケンカの経験が豊富なだけでしょ!
「…はぁ〜っ…」
…ちょっと、ナニ急にうなだれてんのよ?
「やっぱダメだよな…俺なんてマジンガーに乗らなきゃ何のとりえも無いもんな…」
今度はグチか…やってられないわ〜
「…なぁ」
そんな上目遣いして…何よ?
「落ち込んでるんだから、ちょっとは慰めてくれよ」
はぁ?
「こういう時、女の子は優しくしてくれるもんだろ?」
…バッカじゃないの?怒鳴り散らした挙句、勝手に落ち込んで…甘えんじゃないわよ!
どうせ落ち込むんなら奈落の底に穴掘って、土の中にドップリ埋まってなさいよ!
以前の私ならそう言ってたでしょうね。
でも今の私はそんなことは言わないの。
本を読んだり話を聞いたりして、知性とボディに磨きをかける。
自分の中に思い描く憧れの女性へ向かって、日々成長してるの。
甲児君の操縦は誰にも負けない!
男を育てることのできる女って、イイ女の条件よね。
「貴方を信じてる。諦めないで。私は貴方の最強の味方よ。」
最初は女神の祝福。甘く囁き勇気をあげる。
甲児君の瞳に自信が漲り私を強く誘う。
次はマドンナの微笑み。全てを許し癒すように。
甲児君は甘えるように私の唇を受け止める。
最後は天使の抱擁。柔らかい羽で心まで包むように。
甲児君は私のお腹を撫で回しバカ笑いする…
?…バカ笑い?
「ひゃひゃひゃっ!く、苦し〜っ!胸の詰めモンが腹までズリ落ちてきてるーっ!」
…!!! ドスッ!
迷う間もなくスムーズに右ストレートが伸びていった。
私もまだまだ修行が足りない…
だから今日も私は最上級の淑女を目指し、トレーニングルームに向かう。
大胸筋を鍛え上げて、バストアップとパンチ力増加の一石二鳥♪
fine
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