Diary

No.97

mio
その昔「ダイナミックヒーローズ」ってのがありまして。
クリックマンガの1枚目は買った私ですが、個人的に好きじゃなかったのでその後はスルーしまして(成り行きとつきあいで2枚目は買った)、もうそっちには近づかずにおこうと思ってたのに、HPに来られた方から結末を聞きまして。
で、なんだかなーと思ってその後の話を書いたんでした。
実際に読んだわけじゃないし、内容もアレだし、あんまり人様に見せるものじゃないなと思い、昔のHPでも期間限定で公開してたんだけど、たまたま昨日PCの中で見つけたんです。
うん十年ぶりに自分で読んだら、まぁこれもアリかなと思ったけど、やっぱり表には出せないのでここにこっそり上げておきます。
気を悪くされた方がいらしたらごめんなさい。



ダイナミックヒーローズ本編後(だと思う)

 グレンダイザーを見送って、甲児とさやかは光子力研究所に戻ってきていた。
 不安定な状態でさやかが乗っていることも考え、甲児はことさら慎重にパイルダーを格納庫に着陸させる。
「無事に着いたぞ、さやかさん。どこかぶつけなかったか?」
 自分が先に外に出て、甲児はまだパイルダーの中にいるさやかに話しかけた。
「怪我したら甲児くんから治療費ふんだくろうと思ってたのに、残念ながら無事だったわ」
「なんだよ、それ」
「あたしはいいって言ってんのに、グレンダイザーを見送ろうなんて言って、無理やりあたしをZに乗せたのは甲児くんでしょ」
「いいじゃねーか、当分大介さんとマリアちゃんには会えないんだぞ?」
「………………」
 さやかとしては、大介はともかくマリアとは当分会えなくても問題はないと言いたいところだったが、それを言うのも大人気ないので黙ってしまう。
 甲児もさやかの考えていることを察したのだろう、微妙な空気を残したまま何も言わず、手だけをさやかに差し出した。
 甲児の差し出した手につかまって、さやかもパイルダーを降りる。二人して格納庫に降り立ったところで、さやかがふいに甲児の名を呼んだ。
「甲児くん」
「……な…んっ……!?」
 さやかが手を差し伸べて、甲児の頬に唇を押し付けた。そう、ちょうどさっきマリアがしたように……だ。
 しかし、甲児の反応はさっきとは大きく違っていた。
「な…っ、なにしやがんだっっ!!」
 甲児はおおげさなぐらいに驚いてさやかから飛びのくと、すぐにでも迎撃できるよう身構える。
 さやかの眉がつりあがった。
「なによ、その態度はっっ!!」
「さやかさんがガラにもねぇことするからだろっっ!!」
「………彼女からキスされたときには、頬赤らめてぼーっとなってたのに、あたしだとそんな風なんだぁ~~?」
 甲児の顔はとてもじゃないが照れているというようなものではない。今はむしろ怒っていると言った方が近いぐらいだ。ちょっとだけ…ほんのちょっとだけ、自分が彼女と同じことをしたら甲児はどうするだろうと思っただけだった。さやかとしても、迂闊にガラにもないことをしてしまったという自覚があるのに、甲児にそんな態度を取られたのでは、恥ずかしさも手伝って無性に腹が立ってくる。
「当たり前だろっ!! さやかさんなんだからっ!! 馬鹿なこと言ってんじゃねーよっっ!!」
「馬鹿なこと言ってて悪かったわねっっ!!」
「悪いに決まってっだろっっ!!」
 怒鳴った後で、甲児は一つため息をついた。
 今回、突然戦闘に巻き込まれた自分を心配して、さやかが随分とストレスを溜めこんでいることはわかっていた。しかもその上マリアの存在だ。別れ際のマリアの行為は、多分、そういう意味なんだろう。さすがの甲児もあの時やっとそのことに気がついたのだが、さやかはそれ以前に気づいていたに違いない。
 だからこそ甲児は、渋るさやかを無理やりZに同乗させて、二人を見送りに行ったのだ。あれは、甲児なりの意思表示だったのだが、鈍いさやかはそのことにまったく気づかなかったばかりか、甲児のことをとことん信用していないらしい。
 まったくもって、ムカつきもするし、ため息だってつこうというものだ。
「……なによっっ!!」
 甲児が黙ってしまったので、さやかの方はトーンが下がってしまう。声に少し不安がにじんでいた。
「あのな……」
 極力おのれにとって照れくさくない言い方でさやかを納得させようと思った甲児だったが、さやかの顔を見てなまじっかなことを言ったのでは効き目はないと悟った。自分もかなり鈍い方だという自覚があるが、さやかもそれに輪をかけて鈍いからだ。
 こうなったら仕方がない。
「さやかさん」
「……なに? ………っ!!?」
 たまには自分もガラにないことをしてもいいかもしれない。そう覚悟して甲児は行動に及んだ。さやかがどんな反応をするのかということにも少し興味はあったことだし。
 甲児もまた、マリアと同じことをしたのだった。そう、つまり、さやかの頬にキスをしたのだ。
「な…っ、なにすんのよっっ!!」
 さやかはおおげさなぐらいに驚いて飛びのくと、甲児に対して身構える。それは、先ほどの甲児とほとんど同じ反応だった。甲児と違うのは、飛びのく寸前、平手までお見舞いしてくれたということだ。
「いってえ~~~」
 毛を逆立てた猫さながらの状態で甲児を睨むさやかに、頬を押さえた甲児が言った。
「……ほーらみろ、さやかさんだって同じじゃんか」
「……………………………………………ほんとだ…」
 さやかの逆立っていた毛が元通りになる。一気に脱力したらしいのが見ている甲児にもよくわかった。
「………………な?」
 何だか得意げな顔をしている甲児を見上げてさやかは考えた。
 もし、これが甲児でなかったらどうしただろう。多分これほど感情のままには反応しなかったに違いない。嫌っている相手だったらともかく、それなりに親しい相手だったなら、こんな態度を取っては失礼だし、場合によっては傷つけてしまうかもしれない。
 甲児を見上げていたさやかが徐々に睨むような顔になる。
「……な…なんだよっっ!!」
 これで納得してくれるだろうと思った甲児は、さやかから睨まれて少々焦り出す。
「あのね、甲児くん……」
 更に言い募ろうとしたさやかだったが、そこで言葉を止めた。結局なにを言っても自分達のつきあい方は変わらないのだし、幾度喧嘩を繰り返そうと甲児のことを嫌いになることはない。それは多分甲児の方も同じだと、今のさやかにはわかってもいる。
 ただ、ちょっとだけ、甲児はずるいとさやかは思ってしまうのだ。核心に触れることは何にも言われていないのにあっさり納得させられる自分が情けないと思ったりもする。
「さーて、弓先生に挨拶してくっかなー」
 難しい顔をしているさやかを残して、甲児は格納庫の入り口へと向かった。
 さやかから十分距離を置いたところで、急に足を止めて振り返る。
「俺さぁ、さやかさんには、“される”より“したい”んだよねー。それに、ほっぺより唇のが嬉しいしぃー」
「…………………………っっっ!!」
 それだけ言うと、甲児は走り出した。背後から大声でさやかが叫ぶ声がする。
「なに恥ずかしいこと言ってんのよ、馬鹿っっ!!」
 怒鳴りながらも、さやかの顔は真っ赤に染まっていた。そしてまた、甲児の方も自分の台詞に照れて赤くなっていたのだった。


おわり



マリアちゃんをダシにしたような形になっちゃったので、表には出せないのでした。
最終回のことを聞いてこんな話書いた私が言うことでもないけど、二人がこんなことやってる頃、あっちでは…とか思うとちょっと…ねー💦
やっぱり、ℤとグレンは混ぜたらダメだと思うの。悲しい思いをする人も出てくるんだから。
これ、ある程度の日数が経ったら削除します。
たたむ

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