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mio
ケインの話6本目!
ここでしばらく休止…かと思ってたら、あと1本上げられる模様です。
また明日ー!

--Uが終わったそのあとで おまけ--
『君が笑ってくれるなら』(6)

「……ごめん、ケイン。囮を買って出たのは私なの。いつまでもベガの兵士がケインの周りにいるなんて我慢できなかったから」
 戻った記憶を整理できず半ば呆然としたままのケインに、研究所に帰る車内でマリアが説明してくれた。
 あの日大介が罠にかからなかったのも、マリアがグレンダイザーに乗っていたのも予知によるものだったこと。
 あの後ベガ軍は撤退していったけれど、その後、研究所を探っている不審な人物がたびたび目撃されたこと。それがケインと一緒にいた兵士だと大介が気づいたこと。
 あの日、罠にかかったふりをして工作部隊の兵士を倒し、降りしきる雪の中、グレンダイザーの近くまで戻ってきた大介は、グレンダイザーから攻撃されないだけの距離を取ってケインを見張っている兵士を目撃したらしい。ケインの自死を止めるのを優先したため、その時の兵士がどうしたかはわからないが、彼らがベガの命を受けて地球に残り、捕らわれたケインを抹殺しようとしていても不思議ではない。ケインはベガの情報を持っているのだから。
 しかし彼らは巧妙で、なかなか捕らえることが出来なかった。
 「暖かくなったらケインと一緒に外に出たいのに、襲われる心配しなきゃいけないなんて我慢できない」と言い出したのはマリアだった。
 ケインを囮にするのは申し訳ないと思いつつ、ヒカルに特殊な防護壁を張ってもらい、防護用の素材で作った衣類を着ぶくれに見えるほど着込んでもらった。もちろんマリアのコートの下も同様の素材で作った服だ。
 囮を言い出したのはマリアで、反対意見はあったものの、予知によって自分にもケインにも危険はないとマリア自身が強く主張したからこその決行だった。
 それでも、兵士の光線銃がケインの腕を掠めてしまい、今ケインの二の腕はマリアの手によって包帯を巻かれている。落ち込んでいるのか、マリアの表情はひどく暗い。
「ごめんね、ケインが怪我するなんて思わなかった…」
「あー、それは俺が悪いんだよ。あいつら見失ったから。ごめんな、ケイン。怖い思いさせた上に痛い思いまでさせて」
 運転席のミラーに映る甲児がそう言って頭を下げた。
「あいつらに気づかれたのは私たちのミスよ。本当にごめんなさい」
「マリアは悪くない」
 甲児、さやか、ヒカルが続けてそう言って、大介が手を伸ばしてマリアの頭を撫でた。
 マリアを包む暖かな空気はケインにも感じ取れた。マリアは愛されているんだなとケインは思った。あの王宮で、巫女姫としての能力しか見てくれない周囲の人間たちに癇癪を起していたマリアはここにはいない。遠い昔、自分の予知のせいで大事な友達をひどい目にあわせてしまったと泣くマリアを慰めたのは、肉親以外ではケインとシリウスの二人だけだった。でもここには大介…デューク以外にも、甲児、さやか、ヒカルがいる。宇門や研究所の人たちも。
 記憶を失っている間に見たマリアの笑顔。それはケインとシリウスにとっては見慣れた安心しきった笑顔だった。この人たちもまたマリアにとって信頼できる人たちなのだ。そんな人たちが今、以前とはまた違った意味で厳しい状況にいるマリアのそばにいてくれるのだ。
「包帯巻くの上手ね、マリアちゃん」
「わたしもそう思う。お姫様なのにいろいろできて偉いと思う」
 さやかとヒカルの二人がマリアを慰めようとしている気持ちが伝わってくる。そんな彼らがマリアを危険にさらすことを良しとするわけはない。
 ケインは素直に頭を下げた。
「……すみません。さっきは取り乱してしまって…」
 ケインが口を開いたとたん、その場が静かになった。助手席のさやか、後部座席の大介とヒカルの視線を感じる。顔を上げたケインは、ミラーの中の甲児と目が合った。
「じゃあ、思い出したんだな」
「はい。全部」
「体調が大丈夫なら、話してくれるかしら」
 さやかの問いかけに頷く。
「皆さんのおかげで体は回復しています。記憶も…、まだ少し混乱はしていますがお話できると思います。いいえ、僕の話を聞いてください。王子にもマリアにも皆さんにも聞いて欲しいです」
 笑みを見せる者、頷く者、ケインの肩を叩く者。
 それきり車内は静かになった。
『ああ、そうだった……』
 すべてを思い出したケインは心の中で呟いた。
 自分は利用されたのだ。利用しようとして潜り込んだはずのベガに。
 ぎゅっと手を握る。愚かだった自分を許せなかった。
 その手にマリアの暖かい手が重ねられても、ケインの固く握られた拳はずっとわずかに震えていた。
たたむ

駄文

mio
ケインの話5本目!

--Uが終わったそのあとで おまけ--
『君が笑ってくれるなら』(5)

 雪の降りしきる寒い日だった。
 あの日、ケインはグレンダイザーを奪うために地球に潜入した。ケインならグレンダイザーから拒否されないことを分かった上での人選だった。
 投入されたのは三つの部隊。マジンガーとスペイザーを引き付けておくための戦闘部隊。デュークをグレンダイザーから引き離すための工作部隊。そしてグレンダイザーを奪取するためのケイン達三つ目の部隊。
 作戦は順調に進んでいた。スペイザーが二機しか出てこなかったのは計算外だったが、マジンガーとスペイザーは足止めした。天候を利用した幻影を使ってデュークをグレンダイザーから引き離した。グレンダイザーから攻撃されない程度の距離に同行の兵士二人を残し、ケイン一人がグレンダイザーに近づいた。案の定、グレンダイザーはケインを攻撃しなかった。
 無人のグレンダイザーを奪うなどたやすいことのはずだった。任務は達成されるはずだった。
 生身のデューク=フリードを殺し、グレンダイザーさえ奪ってしまえば地球に用はない。いきがけの駄賃にマジンガーとスペイザーさえ破壊してしまえば地球にはもう抵抗する戦力はない。たやすくベガに屈するだろう。
 しかしそこにマリアがいた。グレンダイザーに搭乗していたのはデューク一人ではなかったのだ。
「どけ。グレンダイザーを降りろ」
 ケインの任務は「グレンダイザーを奪うこと」だ。グレンダイザーに搭乗できる以上、この少女もフリードの血を引く者だろうがそんなことは関係ない。任務の邪魔をする者は排除するだけだ。ケインは少女に対して何の感情もわかなかった。
「ケイン!」
 少女はケインの名を呼んだ。けれどケインの動きは止まらない。ホルスターから出した銃を少女に向ける。
「どうしたの、ケイン! 私のことがわからないの!? 私よ!マリアよ!!」
 指を引き金に掛けることに躊躇いはなかった。
「なんでなの、ケイン! 何があったの!?  答えてよ、ケイン!!」
 少女が振り絞るように叫んだ。彼女の傍らには銃があったが、それを手にする様子もない。ただ、悲痛な表情でケインを見つめているだけだ。
 少女の目から涙がこぼれる。
 それを見た時、ほんの一瞬だけ、ケインの頭の中に充満していた靄が消えうせた。それだけで十分だった。
 マリアに向けていた銃口を自分に向け直したケインは引き金を引こうとして…引けなかった。誰かの腕がケインを掴み、そしてケインの頭はまた靄に包まれてしまった。

たたむ

駄文

mio
ついでにケイン4話目も上げとこう。

--Uが終わったそのあとで おまけ--
『君が笑ってくれるなら』(4)

 そんなある日のことだった。
 ようやく体調が安定し、しっかりと歩くことが出来るようになったケインは、その日初めて、マリアと一緒に研究所の外に出ていた。
 風邪をひくといけないからとやたら防寒着を着せられた着ぶくれの状態のケインは、マリアに手を引かれて歩いていく。身震いするほど冷たい風が時折吹いてくるけれど、空は青く太陽の光は暖かい。思わず足を止めて太陽を振り仰ぐ。眩しい光に何かを思い出しそうになったが、マリアに話しかけられてそんな思考は霧散した。
「これからは時々散歩もしようね。その方が体にもいいから」
 そう言ってにこりと笑うマリアは、赤いハーフコートがよく似合っている。ミニスカートから伸びたすらりとした足を見て、ケインは何故かドキドキして目を逸らしてしまう。
 木々の間を縫うように続く小道には木漏れ日が陽の光を落としている。昨日のご飯がおいしかったとかあの本が面白かったとか他愛ない話をしながら小道を行くが、自分の隣を歩いているマリアが妙に緊張していることにケインは気がついていた。
 その理由がわかったのは、そろそろ帰ろうとマリアが口にしてすぐだった。研究所からはかなり離れた林の中、何かが頬を掠め髪が焦げる匂いがした。
 隣を歩いていたマリアが一瞬足を止めた。そしてケインを突き飛ばす。
「逃げて、ケイン!」
「マリア!」
 地面に伏せたまま顔だけを上げたケインは周囲に視線を送る。右手に一人、左手に一人、こちらを狙う銃口が光っている。
 守らなければ。
 そう思った。マリアを守らなければならない。
 近くに伏せていたマリアの手を引っ張って、抱えるようにして林の中に飛び込んだ。光る筋が視界の隅を通り過ぎる。
 自分の足はこんなに遅かったか。こんなに頼りなかったか。マリアを守る盾になろうと思っていたはずだったのに。
 腕のどこかが熱いがそんなことを気にしてはいられなかった。
 まだ枯れずに残っていた背丈ほどの草の群れの中に分け入り身を隠した。ふいに吹き付けた強風で、生い茂った草がガサガサと音をたてて揺れる。マリアを抱きしめ、息を殺して小さくなる。小枝を踏む足音が遠ざかっていく。ここにいればしばらく時間が稼げるだろう。自分が囮になってマリアを逃がさなくては。
 そう思って立ち上がろうとしたときだった。
「ケイン!大丈夫!?」
 青い顔のマリアがケインの上着をぎゅっと握って身を寄せてきた。少し離れてくれないとせっかくの可愛いコートが血で汚れてしまうのに。
「今から僕が出ていくから、マリアはその間に助けを呼んできて」
「何言ってるのよ! ケインはまだ病み上がりで……」
「駄目だよ。知ってるだろ? マリアを守るのが僕の役目なんだって」
「………ケイン……?」
 マリアが大きく目を見開いたとき、すぐ近くから聞き慣れた声が聞こえてきた。
「ごめん!遅くなった!」
「あいつらは捕まえたから出てきて大丈夫よ!」
「…甲児さん、さやかさん………?」
 それはいつもケインを気遣ってくれる、気のいい二人の声だった。全身の力が抜けるような気がする。
「甲児!さやか!ここよ!」
 ケインを制してマリアが立ち上がって手を振る。
「二人とも無事か!?」
 草をかき分けて二人分の足音が近づいてくる。
「ごめんね。ずっと奴らを見張ってたのに、肝心な時に見失っちゃって!」
「あいつら意外に勘が良かったんだよ。尾行に気がついたみたいで…」
 どうやら自分たちは狙われていて、それを承知の上で動かされていたらしい。
 そのことに気づき、一瞬で頭に血が上って立ち上がった。
「……なんてことをするんだっ!! マリアを……フリードの姫を囮に使うなんてっっ!!」
 マリアは誰よりも守らなければならない人だ。なのにマリアを囮にするなんて。
 ケインは激怒しているのに、三人は何故かぽかんとした間の抜けた表情でケインを見ている。
「……ケイン……お前……」
 甲児が呟くように言う。さやかはぐるりと首を巡らせてケインからマリアに視線を移す。
 そしてマリアは……。
「……ケイン……思い出したの?」
 見上げるマリアの青い目を見た途端、ケインは自分が全て思い出していることに気づいた。三人が同時に息をのんだのがわかる。
「僕は……」
 ケインは自分の手をじっと見下ろした。
たたむ

駄文

mio
私なりの答えってことで。
昔、これをちゃんとした1本の話にしようと思ってたら、甲児×さやかのお仲間が自作の同人誌を送ってきてくれまして。
その本、お話自体は全然違う内容だったんだけどここの解釈は同じで、しかも、その辺りのことを書いた数行が、私が当時打ってた文章と一言一句変わらないものだった…という奇跡のような偶然があったのでした。
なので、私の方は没りました(笑)



 『まなざし』

 あの目だ。
 甲児が欲しかったのはあの目だった。
 彼に向けられている彼女の目。それを自分に向けたかった。あの目が欲しかった。あの目をした彼女が欲しいと思った。あの目に焦がれた。それを恋情だと思った。
 けれど。
 実際の彼女と向き合ったとき。甲児の心は驚くほどに凪いでいた。
 自分は彼女が欲しかったのではなかったのか。彼女に恋情を抱いていたのではなかったのか。
 自問する中で甲児は、自分が欲していたのは彼女ではなく、あの「目」だったのだと知った。
 
 あの目を甲児は知っていた。知っていたはずだった。
 よくも忘れていられたものだ。
 かつて自分に向けられていたあの目。
 いつもは強気なその表情の中で、あの目だけは違う感情を訴えていた。
 それがなんだったのか、今ならよくわかる。

 気が付いてみれば馬鹿々々しい。
 まったくもって情けないことこの上ない。自分の感情すら見誤っていたなんて。 
 殴れるものならいっそ自分を殴ってしまいたい。
 心が動かなかったのは当然だ。甲児が欲していた目は、彼女の目ではなかったのだから。
 
 甲児が欲しかったのは、甲児が求めていたのは、甲児が自分に向けたかったのは、今はそばにいない人の目だった。
 あの眼差しは自分のものだった。自分だけのものだった。あの目でほかの誰かを見つめて欲しくない。
 どうやら自分はずっとそう思っていたらしい。

 おかしな態度を取ってしまった彼にも彼女にも土下座したい気分だった。
 そしてなにより。
 自分の愚かな勘違いを、あいつにだけは絶対に知られたくない。
 
 激しく落ち込んでいる甲児は気づかない。
 甲児が、今そばにいない「あいつ」を見つめていた時の目もまた、同じようなものであったということに。

 ENDたたむ

 
おそまつさまでした💦
何のどこを書いたものなのかはお察しくだされば幸いです。

駄文

mio
ケインの話、3話目。まだまとまってないけど、ここまでは多分決定。


--Uが終わったそのあとで おまけ--
『君が笑ってくれるなら』(3)

 彼が目を覚ました時、目の前にいた少女はマリアと名乗った。
 マリアは彼の目覚めを喜んで人を呼び、彼は大勢の人間に囲まれた。その中の白衣を着た初老の男性からいくつかの質問を受け、診察をされ、彼は「記憶喪失」だと診断された。
 その病名に周りの人間は複雑そうな顔をしたが、どこか安堵したようにも見えた。
 何も覚えていない彼のもとに、マリアは毎日のようにやって来た。そうしていろんな話をしていく。
 彼の名前はケインといって、彼女とは幼馴染なのだそうだ。
 彼はさっぱり覚えていなかったが、マリアは嬉しそうにケインとの思い出を語った。
 一緒に広い庭を駆け回ったこと、木に登って降りられなくなって彼が助けてくれたこと、勉強を抜け出しては𠮟られたこと。
 何を話しても全く思い出せないケインに対してマリアは徐々に落胆の色を滲ませるようになっていき、ケインはそれをひどく申し訳なく思った。マリアは隠そうとしているようだったが、その内心は隠しきれておらず、ケインの申し訳なさは募るばかりだった。
 しかしある時からマリアはそんな表情をかけらほども見せなくなった。そして、無理に明るくふるまうような、そんなそぶりがなくなって、ごく自然にケインのそばにいてくれるようになった。そんなマリアの態度に、ケインはようやく少し心の中の罪悪感を小さくすることが出来た。
 体力が落ちていてまともに動けないケインの介助をしてくれたのもマリアだった。なぜそこまでしてくれるのかと尋ねたケインに「ケインは私の数少ない友達で幼馴染なんだから当たり前じゃない」とマリアは笑った。その笑顔が可愛くて、ケインはマリアの笑った顔をずっと見ていたいと思った。マリアと過ごした日々のことを思い出したいと思ったのはこの時からだ。
 しかし、過去のことを思い出したいと思う反面、思い出すことはケインにとってなぜかひどく恐ろしくも感じられた。
 まだ体調に波がありベッドから離れられないケインの元へは、マリアだけでなく彼女の兄の大介と、友人だという甲児、さやか、ヒカルの三人もたびたび訪れた。彼らはケインを楽しませようと、綺麗な写真や絵の載った本や暇つぶしの遊具などを持ってやってきてはひとしきり話をしていく。その時間は楽しいもので、ケインの心の中から消えていかない焦りや不安をひとときなりとも忘れさせてくれた。
 しかしそんな中、時折ひどく痛ましそうな表情を向けてくる人物がいた。マリアの兄の大介だ。その目にこもっているのは記憶を失った自分への同情や憐憫だけではない気がした。単なる同情や憐憫の表情なら、目を覚ましてからずっと向けられていたからだ。
 自分は、彼からそんな顔で見られるような何かをしたのではないか。ケインはそう思った。失った過去はマリアの語るような楽しいことばかりではなかったに違いない。
 けれどそれを問いただす勇気は出せずに時間だけが過ぎていく。

たたむ

駄文

mio
ケインの話、2話目でーす。


--Uが終わったそのあとで おまけ--
『君が笑ってくれるなら』(2)

 彼は長い時間ずっと、闇の中を漂っていた。時折光が見えてもすぐにまた闇に意識を覆われてしまう。
 苦しかった。苦しくて苦しくてもがいて暴れてどうにかこの苦しさから逃れようとした。一瞬の光は救いのようでいて、逆に呪いのようでもあった。
 決してつかめないのに、どんなに焦がれてもそこにはたどり着けないのに、時折あらわれては彼を誘い招き、あっという間に消え去ってしまう光。彼は光を憎みさえした。
 けれどある時、光の方から声がすることに気づいた。何を言っているのかはわからない。でも、彼を呼んでいることがわかる。
 光が射すたびに聞こえるその声は余りにも必死で耳を塞ぎたくても彼に届いた。
 なぜこの声は自分のことを呼ぶのだろう。血を吐くような声で呼ぶのだろう。どんな顔で呼ぶのだろう。泣きそうな声で呼ぶのだろう。
 その声が余りに悲痛だったから。
 だから彼は、光が射したその時に、その声の主を慰めたくなったのだ。
「……泣かない…で……」
 そう口にしたとたん、闇が大きくはらわれた。ついで差し込んでくる眩しい光。
 光が意識を覆うほどに悲痛な声は消えてゆき、彼自身も「声」のことを記憶の中のどこかに埋もれさせてしまう。
 けれどそうやって、彼はある日、目を覚ましたのだ。

つづく
たたむ

駄文

mio
ケインの話、さわりの部分だけのっけます。
多分ここはこの後も手を入れることはないと思うので。
この後はしばらくお時間いただきます💦


--Uが終わったそのあとで おまけ--
『君が笑ってくれるなら』(1)

 ふいに頭の中の霧が晴れた。
 目の前にはマリアの顔。驚いてこちらを見ているその顔に徐々に浮かんでくるのは戸惑いと疑問と哀しみと。
 マリア。何故泣いてるの? 
 僕は君にそんな顔をさせたくなかったんだ。あの幼い日からずっと、君にそんな顔をさせないように、いつも笑っていられるように、ずっとずっと君を守ると誓っていたのに。
 でも。
 靄に覆われた記憶の中に点々と浮かんでくる自分ではない自分の行動。
 ああそうか。僕のせいなんだ。僕が君を悲しませているんだ。
 それなら簡単だ。君にそんな顔をさせてしまった僕が消えてしまえば、きっと君はまた笑ってくれる。
 それが僕でない誰かに向けた笑顔であっても構わない。
 君が笑っていてくれるのならそれだけでいい。
 だから。
 僕は銃口を自分に向けた。引き金に指をかける。そして…………。

つづく

たたむ

駄文

mio
草抜きしてたら思いついた話。
Zじゃないです。

「ルビーナ王女の逆行」
なろうでよくあるタイプの話。
デュークの腕の中で息絶えたはずのルビーナは、気が付いたら幼少期に逆行していた。
幼い頃に亡くなった母も、祖父のように慕った侍従もまだ生きていて、父もおかしな野望を抱いていない頃。
とはいえ母は病の床についており、両親の仲は冷え切っている。
寂しい生活を送るルビーナの面倒を見てくれていたのは、唯一父に物申せる父付の老齢の侍従だった。
けれど、今日まさにその侍従が、ルビーナの我が儘を叶えるために出かけた先で殺される日だということに気づく。

侍従の命を救い、母の病を治し、両親を和解させ、そうしているうちにルビーナは、過去の自分の愚かさに気づく。
たとえデュークと結ばれなくとも、彼を悲しい目に遭わせたくない。
そう思ったルビーナは、ベガ星とフリード星の戦いを未然にふせぐべく行動していく。

ルビーナが侍従の外出を止めたため、死ななかった彼は面会を約束していたベガ大王に意見することが出来た。
実は、王妃の病の特効薬をフリード星が開発したという情報を侍従が密かにつかんでいて、外出から帰ったらその話をするつもりだったのだ。
逆行前の世界では、侍従はそれを大王に話すことが出来ないまま死亡し、王妃の死後その特効薬の存在を知ったため、大王がフリード王を逆恨みする一因となっていた。
生き延びた侍従に説得されたベガ大王はフリード王に薬を提供して欲しいと要請。
すぐさま送られてきた薬により、王妃の病は治り、ベガ大王はフリード王に感謝するようになる。

ベガ大王は自分の顔にコンプレックスを持っていて、妻が昔フリード王を好きだったことを知っている。
ルビー星の王女だった彼女は、婚姻を申し込んだ自分に嫌々嫁いできたのだと思い込んでいた。
けど全然そんなことはなく、むしろ王妃からは慕われていた。
病の癒えた王妃と向き合うことの出来たベガ大王は、彼女が自分を愛しているということを知り、夫婦は和解。
それにより、ベガ大王のフリード王に対する歪んだ感情も消え、ベガがフリードに攻め入ることもなくなった。

そんな中、王位を継ぐという自覚の生まれたルビーナは、デュークと恋愛ではなく友情で結ばれることを選ぶ。
…みたいな感じです。

ルビーナの行動により改変された世界が、今年の甲児くん誕生日話の世界…だったり。
たたむ

雑記,駄文

mio
ちょっと下に書いた、気恥ずかしい文章、手直ししても結局気恥ずかしいままだったけど、せっかくなのでここに貼り付けます。
もしも勇気が出たら、表にちゃんとアップする…かもしれません。
あるいは削除しちゃうかも??



『5分前』


 だから多分そうなんじゃないかと思ったのだ。
 滅多に食べられないようなご馳走とか、ふと見上げた空に浮かんでいた虹とか、通りすがりに耳に入ったストリートミュージシャンの澄んだ歌声だとか。
 そんなこんなに出会ったとき。
 一緒に食べて、見て、聴いて、楽しんで、語り合える誰かが今ここにいればいいのにと思うとき、いつも同じ顔が浮かぶのは。

 珍しく風邪なんか引いて、否応なくベッドに縛り付けられて。
 そんな時に「バカは風邪ひかないってウソだったのね」なんて悪態をつかれてでもそばにいてほしいと思うのは、やはり同じ顔だったりして。
  
 だから多分そうなんだろう。

 そう思ったらもう覚悟するしかなかった。
 あの顔が俺じゃない誰かを見つめて、俺じゃない誰かに見つめられて、幸せそうに笑いあうなんて姿を想像するだけでキレそうになる。
 そんなの独占欲としか言えないだろう。
 その独占欲が何によって生まれるかなんてことはもう一目瞭然で。

 だから俺は覚悟した。 

 もうすぐあいつがやってくる。
 今から俺が言う言葉に、あいつはどんな反応をするのか。
 驚いて、照れて、ツンとして。泣き顔が見られるなんて思うほど、俺はあいつに夢を見ちゃいないけど。
 もしも万が一あいつが涙を見せたりしたら、俺は、俺が泣かせたあいつの顔を、きっと一生忘れないだろう。

 あいつの姿が目に入る。
 俺は自分の心臓をなだめるため、一つ大きく深呼吸をした。
 テーブルの下に隠した、給料の3か月分をぎゅっと握りしめながら。


 end
   たたむ

駄文

mio
その昔「ダイナミックヒーローズ」ってのがありまして。
クリックマンガの1枚目は買った私ですが、個人的に好きじゃなかったのでその後はスルーしまして(成り行きとつきあいで2枚目は買った)、もうそっちには近づかずにおこうと思ってたのに、HPに来られた方から結末を聞きまして。
で、なんだかなーと思ってその後の話を書いたんでした。
実際に読んだわけじゃないし、内容もアレだし、あんまり人様に見せるものじゃないなと思い、昔のHPでも期間限定で公開してたんだけど、たまたま昨日PCの中で見つけたんです。
うん十年ぶりに自分で読んだら、まぁこれもアリかなと思ったけど、やっぱり表には出せないのでここにこっそり上げておきます。
気を悪くされた方がいらしたらごめんなさい。



ダイナミックヒーローズ本編後(だと思う)

 グレンダイザーを見送って、甲児とさやかは光子力研究所に戻ってきていた。
 不安定な状態でさやかが乗っていることも考え、甲児はことさら慎重にパイルダーを格納庫に着陸させる。
「無事に着いたぞ、さやかさん。どこかぶつけなかったか?」
 自分が先に外に出て、甲児はまだパイルダーの中にいるさやかに話しかけた。
「怪我したら甲児くんから治療費ふんだくろうと思ってたのに、残念ながら無事だったわ」
「なんだよ、それ」
「あたしはいいって言ってんのに、グレンダイザーを見送ろうなんて言って、無理やりあたしをZに乗せたのは甲児くんでしょ」
「いいじゃねーか、当分大介さんとマリアちゃんには会えないんだぞ?」
「………………」
 さやかとしては、大介はともかくマリアとは当分会えなくても問題はないと言いたいところだったが、それを言うのも大人気ないので黙ってしまう。
 甲児もさやかの考えていることを察したのだろう、微妙な空気を残したまま何も言わず、手だけをさやかに差し出した。
 甲児の差し出した手につかまって、さやかもパイルダーを降りる。二人して格納庫に降り立ったところで、さやかがふいに甲児の名を呼んだ。
「甲児くん」
「……な…んっ……!?」
 さやかが手を差し伸べて、甲児の頬に唇を押し付けた。そう、ちょうどさっきマリアがしたように……だ。
 しかし、甲児の反応はさっきとは大きく違っていた。
「な…っ、なにしやがんだっっ!!」
 甲児はおおげさなぐらいに驚いてさやかから飛びのくと、すぐにでも迎撃できるよう身構える。
 さやかの眉がつりあがった。
「なによ、その態度はっっ!!」
「さやかさんがガラにもねぇことするからだろっっ!!」
「………彼女からキスされたときには、頬赤らめてぼーっとなってたのに、あたしだとそんな風なんだぁ~~?」
 甲児の顔はとてもじゃないが照れているというようなものではない。今はむしろ怒っていると言った方が近いぐらいだ。ちょっとだけ…ほんのちょっとだけ、自分が彼女と同じことをしたら甲児はどうするだろうと思っただけだった。さやかとしても、迂闊にガラにもないことをしてしまったという自覚があるのに、甲児にそんな態度を取られたのでは、恥ずかしさも手伝って無性に腹が立ってくる。
「当たり前だろっ!! さやかさんなんだからっ!! 馬鹿なこと言ってんじゃねーよっっ!!」
「馬鹿なこと言ってて悪かったわねっっ!!」
「悪いに決まってっだろっっ!!」
 怒鳴った後で、甲児は一つため息をついた。
 今回、突然戦闘に巻き込まれた自分を心配して、さやかが随分とストレスを溜めこんでいることはわかっていた。しかもその上マリアの存在だ。別れ際のマリアの行為は、多分、そういう意味なんだろう。さすがの甲児もあの時やっとそのことに気がついたのだが、さやかはそれ以前に気づいていたに違いない。
 だからこそ甲児は、渋るさやかを無理やりZに同乗させて、二人を見送りに行ったのだ。あれは、甲児なりの意思表示だったのだが、鈍いさやかはそのことにまったく気づかなかったばかりか、甲児のことをとことん信用していないらしい。
 まったくもって、ムカつきもするし、ため息だってつこうというものだ。
「……なによっっ!!」
 甲児が黙ってしまったので、さやかの方はトーンが下がってしまう。声に少し不安がにじんでいた。
「あのな……」
 極力おのれにとって照れくさくない言い方でさやかを納得させようと思った甲児だったが、さやかの顔を見てなまじっかなことを言ったのでは効き目はないと悟った。自分もかなり鈍い方だという自覚があるが、さやかもそれに輪をかけて鈍いからだ。
 こうなったら仕方がない。
「さやかさん」
「……なに? ………っ!!?」
 たまには自分もガラにないことをしてもいいかもしれない。そう覚悟して甲児は行動に及んだ。さやかがどんな反応をするのかということにも少し興味はあったことだし。
 甲児もまた、マリアと同じことをしたのだった。そう、つまり、さやかの頬にキスをしたのだ。
「な…っ、なにすんのよっっ!!」
 さやかはおおげさなぐらいに驚いて飛びのくと、甲児に対して身構える。それは、先ほどの甲児とほとんど同じ反応だった。甲児と違うのは、飛びのく寸前、平手までお見舞いしてくれたということだ。
「いってえ~~~」
 毛を逆立てた猫さながらの状態で甲児を睨むさやかに、頬を押さえた甲児が言った。
「……ほーらみろ、さやかさんだって同じじゃんか」
「……………………………………………ほんとだ…」
 さやかの逆立っていた毛が元通りになる。一気に脱力したらしいのが見ている甲児にもよくわかった。
「………………な?」
 何だか得意げな顔をしている甲児を見上げてさやかは考えた。
 もし、これが甲児でなかったらどうしただろう。多分これほど感情のままには反応しなかったに違いない。嫌っている相手だったらともかく、それなりに親しい相手だったなら、こんな態度を取っては失礼だし、場合によっては傷つけてしまうかもしれない。
 甲児を見上げていたさやかが徐々に睨むような顔になる。
「……な…なんだよっっ!!」
 これで納得してくれるだろうと思った甲児は、さやかから睨まれて少々焦り出す。
「あのね、甲児くん……」
 更に言い募ろうとしたさやかだったが、そこで言葉を止めた。結局なにを言っても自分達のつきあい方は変わらないのだし、幾度喧嘩を繰り返そうと甲児のことを嫌いになることはない。それは多分甲児の方も同じだと、今のさやかにはわかってもいる。
 ただ、ちょっとだけ、甲児はずるいとさやかは思ってしまうのだ。核心に触れることは何にも言われていないのにあっさり納得させられる自分が情けないと思ったりもする。
「さーて、弓先生に挨拶してくっかなー」
 難しい顔をしているさやかを残して、甲児は格納庫の入り口へと向かった。
 さやかから十分距離を置いたところで、急に足を止めて振り返る。
「俺さぁ、さやかさんには、“される”より“したい”んだよねー。それに、ほっぺより唇のが嬉しいしぃー」
「…………………………っっっ!!」
 それだけ言うと、甲児は走り出した。背後から大声でさやかが叫ぶ声がする。
「なに恥ずかしいこと言ってんのよ、馬鹿っっ!!」
 怒鳴りながらも、さやかの顔は真っ赤に染まっていた。そしてまた、甲児の方も自分の台詞に照れて赤くなっていたのだった。


おわり



マリアちゃんをダシにしたような形になっちゃったので、表には出せないのでした。
最終回のことを聞いてこんな話書いた私が言うことでもないけど、二人がこんなことやってる頃、あっちでは…とか思うとちょっと…ねー💦
やっぱり、ℤとグレンは混ぜたらダメだと思うの。悲しい思いをする人も出てくるんだから。
これ、ある程度の日数が経ったら削除します。
たたむ

雑記,駄文

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